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雪山登山の心得
春の雪山登山に関して留意すべきことをまとめておきます。
雪山に登る際には一読しておくように。

1.春の雪山の気候

1.1 春の天候
 春の天候は、移動性低気圧の影響で変化が激しいのが特徴である。それに伴い、雪表面の変化も激しく、氷化した固い雪面の上に新たに降雪が起こる場合も多い。

 雪は温度によって時間とともに周囲の雪と結合し、安定化していくものだが、タイプの異なる2種類の雪同士は安定するまでに時間がかかる。このような、積雪が不安定なところに登山者の体重がかかると、ギリギリで保たれていた積雪層の安定性バランスが崩れて、雪崩が発生する。急激な温度変化や大量の降雪、そして人間による加重など、急激な変化に雪は適応できないのである。
よって、春の不安定な天気は、雪も不安定にすることを覚えておく必要がある。

1.2 ルート取り
 雪山の中でも、南を向いた斜面は日射の影響を強く受けるため、雪の状態が激しく変化する。大量の水を含んだシャーベット状の積雪は、ズルズルと流れる点発生雪崩を起こす。スピードは遅いが、雪崩の密度が高いため、足元を取られがちになる。この場合、雪崩に埋没して窒息するよりも、岩や立木に衝突したり、崖や滝に落下して怪我をすることが多くなる。よって、下部にそのような『地形の罠』が存在する箇所を極力避けるルート取りをするとともに、致命傷を避けるためにヘルメットの着用が必要である。

 また、融雪が進んでくると、稜線や岩場の上に形成されている雪庇(せっぴ)が崩壊をおこす。この塊が落ちる雪崩を『ブロック雪崩』といい、冷蔵庫大の大きさのものや、時には軽自動車並のブロックが落下してくることもある。崩落しそうなブロックの下で休憩をすることはもちろん、行動中も疑わしいブロックの下の通過はなるべく避けるようにしよう。

 さらに、春には積雪層全体が雪崩を起こす『全層雪崩』が発生する可能性がある。これは前兆として、積雪面にクラック(割れ目)が入ったり、そのクラックの下にシワが寄ったりすることが見られる。このような前兆のある地形の下にはなるべく立ち入らないことが重要である。


2.雪山の装備 

 季節に関わらず、積雪と斜面があれば雪崩は起きる可能性があり、そこに人がいれば事故になる可能性がある。雪崩を完全に予測することは現時点では不可能である。『雪崩は起こるもの』と考え、それに備えた行動をしなければならない。雪山に入山する場合には、以下の雪崩救助用装備3点を必ず持つことが必要である。

雪崩ビーコン(捜索用電波送受信トランシーバー)
プローブ(ゾンデ棒・積雪の下を捜索する棒)
スコップ(埋没者救助・積雪面観察用)

 また、雪崩とともに春には滑落事故も多くなる。上述したように、春は昼間と夜間の温度差が激しく、朝はカチカチに凍り付いていた雪面が、午後にはグサグサに溶けたシャーベット状になる場合に危険が大きい。急斜面を登る場合には、柔らかい雪をかきわけながら登るよりも、固く凍った雪上を登る方が手っ取り早いが、その場合には、しっかりとした前爪を持つアイゼン(クランポン)と、雪面に刺して手がかりとするピッケル(アイスアックス)が必要である。最低でも、この2つは必ず持っていこう。


3.雪崩の回避法
 
 いかに天候に注意していたとしても、雪崩にあってしまうことはある。雪崩を回避するために次のことを覚えておこう。

1)斜度の低い斜面、木の生えた斜面、尾根状地形をできる限り選ぶ。
2)雪庇の上にも、雪庇の下にも入らない。
3)大きな開けた斜面に入る前には、同じ方角の小さな斜面のコンディションを確かめる。
4)疑わしい斜面では、なるべく先行者と同じ場所を通り、広がらない。
5)雪崩を起こしそうな斜面を横切る場合には、できる限り斜面の上部を通過する。
6)雪崩が起きたときに備えて、常にエスケープルートを考えておく。
7)グループ全員で、行動の判断プロセスを共有し、全員が計画を把握しておく。
8)人の真下に入らない。また、他人の真上にも入らない。
9)疑わしい斜面には、1度に1人ずつバラバラに入り、斜面にかかる荷重を少なくするとともに、雪崩 が発生したときの被害を最小限にする。
10)危険な部分には集まらない。


4.救助策と自力脱出法

 雪崩の救助はセルフレスキュー(事故現場側近での緊急対応)が必要である。雪崩に埋没した場合、15分で救助できた場合、生存率は92%だが、30分後には50%にまで低下する。救助要請後に救助隊が現場にたどりつくには1-2時間はかかり、ほとんどの場合が遅すぎる結果になってしまう。捜索隊に頼るのではなく、現場で自分たちだけで救助することが必要である。なお、セルフレスキューのためには、上述した雪崩ビーコン・プローブ・スコップが必須である。

・自分が雪崩に巻き込まれた場合には、以下のことをする。

1)仲間に雪崩が起きたことを叫び、流れから横に逃げる。
2)深く埋没しないように、邪魔になるスキーやストックなどを外す。これは捜索の際の手がかりにもなる。ザックは激突時の衝撃緩衝や、粉流体内での浮力のためにも背負ったままの方がよい。
3)雪崩に埋没しないように、表面に出るようもがき続ける。木や岩などを掴んで這い上がる。
4)雪崩が止まりかけてきたら、片手で首の後ろの襟を掴み、口の前に肘の内側で呼吸のための空間を作る。もう一方の手は捜索の目印になるように雪の表面に突き出す。


・誰かが雪崩に巻き込まれた場合には、以下のことをする。

1)被害者を増やさないためにも、自分の安全を最優先する。
2)流されていく被害者を注視し、最終目撃地点を記憶する。捜索範囲を狭めることが第一。
3)目撃者同士で、埋没した人数、最終目撃地点、ビーコンの有無を確認する。話し合い、冷静にならなければならない。
4)捜索者の安全を確認する。救助者が被害者になる二次災害を起こさないよう、最大限留意する。被害者の命より、救助者の命を優先すべきである。
5)助けを呼びに行かない。最低1時間は自分たちだけで捜索すること。生存救出のためには、現場にいる全員が初期捜索活動をしなければならない。
6)最終目撃地点より下部で、雪上に出ている残留物や体の一部を探す。ビーコンやプローブがない場合には、樹木の根元や雪崩堆積区の末端で、雪面に顔を近づけ、声をかけ、返答に耳をすます。


 雪崩に埋没した場合、雪はコンクリートのように固まり、指1本動かすことさえできなくなる。運よく雪の表面に出ない限りは、他人に掘り出してもらう以外、独力では脱出は困難である。
それゆえ、単独行の場合にはより一層の注意が必要である。なるべく複数人で行動するように心がけよう。



参考文献
 東大スキー山岳部監督新井裕己 雪山登山の心得

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山の知識 | 17:23:53 | Trackback(0) | Comments(0)
テント泊の知識
テント泊をする上で必要な装備や,その他留意すべきことを以下にまとめます.


::持ち物(個人装備)

時計,メモ帳,保険証(コピー),地図,レインウェア,シュラフ,ザック,ザックカバー,ヘッドランプ(予備の電池も),食料,目覚まし時計(ケータイでもOK),行動食,食器,ゴミ袋,お金,常備薬,タオル,歯ブラシ,水筒(1.5~2リットルのポリタンクなど),防寒着,着替え,銀マット,トイレットペーパー,軍手

☆(あると便利なもの)日焼け止め,サンダル,速乾Tシャツ,折りたたみ傘,携帯,帽子


::団体装備

テント,コッヘル,カートリッジ,ガス缶,医療袋,ラジオ,天気図


::計画の立て方

・1日5h~8hで無理のない計画を
・エスケープルート


::山でのエチケット

・隣人さんへの気配りを忘れずに
・トイレの問題,ゴミの問題
・1人の遅れは全体の遅れ
・水の扱い方には気を配って!


::山でのポイント

・上手なパッキング方法 → 重いものが上!!!
・常に雨が降ることを想定して行動する
・携帯はこまめに電源OFF!
・持っていくものは最小限に

【野村 講習会資料より】


山の知識 | 10:18:18 | Trackback(0) | Comments(0)
山岳気象入門
::1.はじめに

 「天気を制するものは山をも制す」とは言い過ぎかもしれないが,今後,岳人になるためには必須の分野であることには違いないだろう.
 山の天気は変わりやすいと言われ,天候変化や,それに伴う登山行動の判断を適切に下すことが重要であり,危険を回避することにもつながる.そのため登山者は常に天気のことを頭の片隅に入れてもらいたい.なお,この文書は入門編で,一人一人が気象に興味をもつことと,山での気象の重要性を知る機会にしてもらいたい.


::2.天気の予測

 天気を予測することを観天望気という.観天望気するには,
 ・大気の状態(視界・気温・ガス)
 ・風向,風量
 ・雲形,雲量
 ・天気図
 ・季節の天気の特徴
 ・地域の天気の特徴
などの変化をつかみ,それらを相互に考慮して予測する.しかし,最初からこれらすべての事象の変化等をつかむことはできないので,まずはひとつの事象に着目して天気の予測をし,徐々に着目事象を増やして天気の予測をしてみるとよいと思う.また小さな変化でも天気の悪化の兆候となることが多いので,その変化を見逃さないようにすることが大切である.


::3.大気の状態

3.1 視界
 高圧帯や帯状高圧帯に覆われて晴天が続くときは,風も弱く穏やかな晴天となり,しかも,高気圧圏内にあたるため下降気流が発達して,空気中のチリなどが地表付近に滞留する.また,気温の冷え込みによる,気温の逆転層も発生して,滞留の濃度は増し,霞やモヤ現象をおこして見通しが悪くなる.つまり晴天が続くときは遠方や下の街がかすんで見えたりぼやけて見える.また天気が悪くなるときは気圧の谷が接近してくるということなので,大気の状態が不安定になり,上昇気流が生じて,滞留していた霞やモヤなどが広く拡散されて薄くなり,遠方の景色や山々がハッキリ見えるようになる.
 夏には夕立が起きるが,山では雷も発生して危険な場合もある.夏の雷の素は積乱雲によるもので,この積乱雲が発達しやすい状況も,大気の状態を見ることによって予測ができる.朝早くから湿気を多く含んで蒸し暑く,周囲の山々の緑が一層霞がかかったようにぼやけて見えたり,空が真夏には不似合いなほどの青さであるようなときには積雲の発生が早く,積乱雲に発達し,早いときには数10分で積乱雲に発達する場合もあるので注意をしたほうがよい.

3.2 気温
 夜間,空が晴れていると,放射冷却現象がおき,気温が下がっていく.つまり,夜間の冷え込みがあるときは高気圧に覆われていて,翌日も晴れることを意味している.逆に天気が悪くなるときは,気圧の谷が接近してきたことを意味し,高層の気圧の谷が深まってきて地上の発達した低気圧や活発な不連続線を伴っている場合は,夜間でも気温の上昇を感じられる.
 注意として気温の上昇,下降の比較をするときは前日と同じ時刻,場所も同じか似たような地理条件のところでする必要がある.

3.3 ガス(霧)
 霧には悪天候と好天候があり,悪天候は,雲低の低い高層雲や積乱雲の下層に発生して広がり,山間部などに漂っていて,雨や雪などを伴っていることが多いが,時に降水現象を伴わないものもあるが,湿気を多く含んでいて風が吹いていることが多く,霧の動きが早い.
 好天候は湿気をあまり感じなく,霧の動きも遅く,明るい.
悪天候の場合には,低気圧や不連続線が近くにあって,雨や雪を降らせることが多く,好天候の場合には高気圧の圏内にあって朝晩に霧の発生があっても,日中には晴れるケースが多い.


::4.風

 山麓から山頂・稜線に向かって吹く風を「谷風」,逆に山頂・稜線から山麓に向かって吹く風を「山風」という.
 天気が安定しているときは日中,「谷風」が吹き,夜間には「山風」が吹く.天気が崩れるとこのサイクルが崩れる.
 日中,ガスを伴った山風が吹いたり,夜間,ガスを巻き上げるような谷風が吹いているときは天気が下り坂になっているときである.そのときは雨や風に気をつけなければならない.
 稜線や山頂での風向きが北や西から南寄りに変化してきた場合は天気が下り坂になっていることがあるが,地理的状況も左右するので,視界,雲,気温など状況に注意しよう.

つづく...

参考文献
[1] 城所邦男,山の気象学,山と渓谷社,1997.
[2] 飯田睦治郎,登山者のための最新気象学,山と渓谷社,東京,1999.


山の知識 | 10:10:26 | Trackback(0) | Comments(0)

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